「結婚しなくてもいい」時代の羅針盤｜後悔しない選択肢

「結婚しなくてもいい」──この言葉に、漠然とした不安を覚えつつも、どこか共感する自分がいる。そう感じている方は、きっと少なくないでしょう。社会や家族からの結婚へのプレッシャー、でも自身のライフスタイルや価値観も大切にしたい。将来の経済的なこと、老後のこと、そして何より「結婚しない人生は本当に幸せなのか？」という根本的な疑問。

情報リテラシーLabo所長のナミです。私はこれまで多くの情報と向き合い、確かな事実に基づいた分析を心がけてきました。現代の結婚観は多様化しており、個人の選択が尊重される時代へと確実に変化しています。この記事では、「結婚しなくてもいい」という選択肢を深く掘り下げ、あなたの不安を解消し、自分らしい幸せを見つけるための羅針盤となる情報をお届けします。

• 「結婚しない」ことへの漠然とした不安を解消できます
• 独身のメリット・デメリットを客観的なデータに基づいて理解できます
• 老後資金や孤独への具体的な対策が分かります
• 法律婚以外の「事実婚」という選択肢を深く検討できます
• 親や周囲からの結婚へのプレッシャーに賢く対処する方法が掴めます

「結婚しなくてもいい」は現代の選択肢【データで解説】

かつての「結婚は当たり前」という価値観は、現代では大きく変化しています。ここでは、データが示す結婚観の変遷と、法律婚以外の選択肢について解説します。

結婚しない選択が「普通」になる時代

「結婚しなくてもいい」という選択が、もはや珍しいことではなくなっています。国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、日本の生涯未婚率は年々上昇しており、2020年時点で男性の約28％、女性の約18％と過去最高を記録しました。内閣府の「少子化社会対策白書」では、2040年には男性29.5%、女性18.7%に上昇すると予測されています。参照:国立社会保障・人口問題研究所

また、総務省統計局の国勢調査（令和2年）では、「単独世帯（1人暮らし）」が一般世帯の32.4％と最も多く、65歳以上の一人暮らしも増加傾向にあります。これは、個人の価値観やライフスタイルが多様化し、結婚という形にとらわれずに生きる人々が増えている事実を示していると言えるでしょう。

法律婚だけじゃない！「事実婚」や「パートナーシップ制度」という選択肢

結婚の形は、必ずしも婚姻届を提出する「法律婚」だけではありません。婚姻届を出さずに夫婦として共同生活を送る「事実婚」や、特定の自治体で同性カップルにも認められる「パートナーシップ制度」といった選択肢も広がっています。

• 事実婚: 婚姻の意思を持ち、事実上夫婦と同様の生活を送り、社会的にも夫婦と認識されている関係を指します。昔の「内縁」と似た概念ですが、現代ではより前向きな選択として捉えられています。
• パートナーシップ制度: 法律婚とは異なり法的な拘束力や強制力はありませんが、公営住宅への入居、病院での面会、手術の同意などが認められる場合があります。住民票の続柄を「夫（未届）」や「妻（未届）」と記載することで、公的に夫婦関係を証明できる自治体もあります。

それぞれの制度にはメリット・デメリットがあり、あなたのライフプランに合わせた賢い選択が求められます。

「結婚＝幸せ」は本当か？幸福度に関するデータ

「結婚しないと幸せになれないのでは？」という不安は、多くの方が抱える疑問でしょう。確かに、明治安田総合研究所の調査（2018年）では、既婚男女の約8割が「現在幸せを感じている」と回答しており、内閣府の調査でも既婚者の幸福度が高い傾向が見られます。

興味深いのは、一部の研究では恋人がいる人よりも「独身者」の方が幸福度が高いという結果も出ています。特に独身女性は、独身男性と比べて自身の関係ステータスへの満足度が高い傾向があるという指摘もあります。これは、時代遅れな社会規範が緩み、女性が自由に生きられるようになったことが影響している可能性が考えられます。

しかし、独身男性の幸福度は生涯にわたって低迷する傾向があり、特に40〜50代の未婚男性は、既婚者の半分以下しか幸福を感じていないという調査結果もあるため、男女間で幸福度の感じ方に差があることにも注目すべきでしょう。

独身でも後悔しない！人生を充実させるための実践ガイド

「結婚しない人生」を選ぶとしても、将来への具体的な不安は解消しておきたいもの。ここでは、独身のままでも後悔しないための、実践的な準備と心構えについて解説します。

漠然とした不安を解消する「老後資金」の具体的な準備

独身でいることへの不安の一つが、老後の経済的な問題ではないでしょうか。老後資金は「いくらあれば足りる」と一概には言えませんが、目安を知り、計画的に準備することが重要です。

• 老後資金の目安:
  • 独身女性の場合、65歳で定年退職してから平均寿命までの間に1,336万円～2,668万円程度が必要とされています。ゆとりのある老後生活には月額約25万円が目安とされ、年金受給額を差し引くと、90歳まで生きるとして約3,000万円の資金が必要との試算もあります。
  • 男性の場合は1,100万円、女性は1,380万円が目安で、余裕を持って1,500万円ほど用意すると良いとされる見方もあります。
  • 長生きや介護費に備えるなら、男女とも2,500万円～4,000万円程度の貯蓄が必要という見解もあります。
• 具体的な貯蓄・資産形成方法:
  • まずは家計の収支を明確にし、月にいくら貯めるか目標を設定しましょう。
  • 「つみたてNISA」や「iDeCo（個人型確定拠出年金）」など、国が推奨する税制優遇制度を活用した積立投資を積極的に検討してください。参照:金融庁 NISA特設ウェブサイト
  • 保険と投資を組み合わせた「ハイブリッド資産形成術」も有効な選択肢です。
  • そして、最も重要なのは「働けるうちは働き、収入を増やすこと」です。定年後も長く仕事を持つことで、収入源を確保しつつ社会とのつながりを維持できます。

「孤独」を感じさせない！充実した人間関係と社会とのつながり

独身の老後で心配されるのが「孤独」の問題です。しかし、対策は十分に可能です。

• 健康維持と社会との接点: 働けるうちは働き続けることで、収入だけでなく、社会との定期的な接点を持つことができます。
• 既存の人間関係の深化: 兄弟姉妹や友人、地域の人々との交流を深めましょう。会う頻度や連絡の頻度を高めることが大切です。
• 新しいコミュニティへの参加: 趣味のサークル活動、地域のボランティア活動など、同じ目的を持つ仲間と出会える場所へ積極的に参加してみましょう。
• 孤独死対策サービスの利用: 各市町村が提供する訪問サービスや見守りカメラ、民間サービスなどを活用することも検討してください。東京都23区における孤独死の数は8,950件（令和2年）で、そのうち65歳以上の割合が約7割を占めるというデータもあります。参照:東京都福祉保健局 こうしたデータからも、早期の対策が重要であることが分かります。

もしもの時に困らない！「身元保証人」問題の対策

病気で入院する際や、介護施設に入居する際、賃貸契約を結ぶ際など、「身元保証人」や「身元引受人」を求められる場面は少なくありません。独身の場合、この点で不安を感じる方もいるでしょう。

元気なうちに「身元保証サービス」を契約しておくという選択肢があります。これは、万が一の際に身元保証や緊急連絡先の代行などを行ってくれる民間のサービスです。また、「任意後見契約」の検討も有効です。これは、将来判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ公正証書で後見人となる人を決めておく制度です。

多様な生き方「事実婚」という選択肢とその現実

法律婚以外で人生を共に歩むことを考えるなら、「事実婚」も具体的な選択肢の一つとなります。そのメリットとデメリットをしっかりと把握しておきましょう。

事実婚の「メリット」と「デメリット」を徹底比較

事実婚は、法律婚とは異なる特徴を持ちます。あなたの価値観と照らし合わせてみてください。

事実婚で起こりうるトラブルを防ぐ「公正証書」の活用

事実婚は、法律婚のような法的な保護が薄いため、万が一のトラブルに備えて「公正証書」を作成しておくことが非常に重要です。公正証書には、以下の内容などを盛り込むことができます。

• 生活費の分担方法
• 財産分与に関する取り決め（共有財産・特有財産の明確化）
• どちらか一方が亡くなった場合の財産に関する取り決め（遺言書と併用）
• 関係が解消された場合の慰謝料や財産分与に関する取り決め

公正証書を作成することで、法律婚と同様の権利関係を明確にし、お互いの権利と義務を法的に担保することが可能になります。公証役場で作成できるため、専門家と相談しながら進めることをお勧めします。

親や周囲のプレッシャーを乗り越えるには

結婚しない選択をする上で、親や周囲からのプレッシャーは大きな悩みの一つでしょう。大切なのは、自分の価値観を確立し、誠実に向き合うことです。

自分の「幸せの定義」を明確にする

「結婚」という形が、必ずしも「幸せ」の唯一の定義ではありません。あなたはどんな時に幸せを感じるでしょうか？自分のキャリアを追求している時、趣味に没頭している時、友人との交流を楽しんでいる時…。まずは、あなた自身の「幸せの定義」を明確にすることが大切です。

ライフプランを具体的に伝え、理解を求めるコミュニケーション

親や周囲の心配は、あなたの将来を案じてのことかもしれません。そのため、漠然と「結婚しない」と伝えるのではなく、具体的なライフプランを説明し、安心してもらう努力も必要です。

• 老後資金は計画的に準備していること
• もしもの時の身元保証人対策も考えていること
• 友人や地域のコミュニティとつながり、孤独ではないこと
• 仕事や趣味を通じて充実した毎日を送っていること

このように、将来に対する具体的な備えや、独身でいることの充実感を伝えることで、理解を得やすくなるでしょう。すぐに納得してもらえなくても、根気強く話し合いを続ける姿勢が大切です。

まとめ

「結婚しなくてもいい」という選択は、現代において十分に尊重される生き方です。大切なのは、漠然とした不安を解消し、自分らしい幸せを追求するための具体的な準備と心構えを持つことです。

• 「結婚しなくてもいい」は現代の多様な選択肢の一つである
• 生涯未婚率や単独世帯の増加が社会の現状を示している
• 法律婚以外に事実婚やパートナーシップ制度がある
• 幸福度は個人の価値観や状況によって異なり、独身者が低いとは限らない
• 独身の老後資金は計画的な貯蓄と資産形成が不可欠
• つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用する
• 働けるうちは働き続けることで収入と社会との接点を維持する
• 趣味やボランティア活動を通じて多様な人間関係を築く
• 身元保証サービスや任意後見契約で「もしも」に備える
• 事実婚のメリットとデメリットを理解し、公正証書でリスクを回避する
• 自分の「幸せの定義」を明確にし、他人の価値観に左右されない
• 親や周囲には具体的なライフプランを伝え、理解を求める
• 自由な生き方を楽しむための準備と心構えが充実した人生の鍵となる

「結婚しなくてもいい」に関するよくある質問（FAQ）

Q1: 結婚しないと本当に後悔しますか？

A1: 後悔するかどうかは個人の価値観やライフプランによって大きく異なります。客観的なデータを見ると、既婚者の方が幸福度が高い傾向があるという調査結果もありますが、これは結婚が直接的な原因ではない可能性も指摘されています。むしろ、独身を謳歌し、充実した人生を送っている方もたくさんいます。大切なのは、漠然とした不安に流されず、自分の価値観に合った選択をし、その選択をより良くするための具体的な準備を進めることです。

Q2: 独身の老後資金はいくら必要ですか？

A2: 必要額は個人のライフスタイルによって変動しますが、一般的に独身女性は1,336万円～2,668万円、男性は1,100万円～1,500万円程度が目安とされています。ゆとりのある老後には3,000万円以上が必要とする試算もあります。これらはあくまで目安であり、病気や介護に備えるならさらに余裕を持った資金計画が必要です。家計の収支を明確にし、つみたてNISAやiDeCoなどを活用して計画的に資産形成を始めることをお勧めします。

Q3: 親に結婚しないことをどう伝えたらいいですか？

A3: 親御さんはあなたを心配しているからこその言葉かもしれません。まずは自身の「幸せの定義」を明確にし、その上で具体的なライフプランを伝えることが重要です。例えば、老後資金の準備、人間関係の充実、仕事や趣味の継続など、将来に対する具体的な備えや、今の生活の充実感を誠実に伝えることで、安心感を与え、理解を得やすくなるでしょう。一度で理解されなくても、根気強く対話を続ける姿勢が大切です。

Q4: 独身でいることのメリットは何ですか？

A4: 独身でいることのメリットは多岐にわたります。最も大きいのは「自由」でしょう。自分のペースで毎日を過ごせ、時間もお金も自分で自由に使えるため、キャリアの追求や趣味、自己実現に集中できます。人間関係も自分で選び取ることができ、ストレスの少ない環境を築きやすいのも魅力です。経済的な自由度も高く、自分自身のための投資や経験に惜しみなくお金を使えることも大きなメリットです。

Q5: 事実婚は法律婚とどう違いますか？

A5: 事実婚は婚姻届を提出しないため、法律婚とは法的な権利や義務の面でいくつか違いがあります。最大のメリットは夫婦別姓が可能で、お互いの戸籍に影響がないことです。関係解消時も法律婚よりはスムーズです。一方で、配偶者控除が適用されない、子どもの親権は原則母親のみ、相続権がない、賃貸契約や保険の加入がスムーズにいかない場合があるといったデメリットも存在します。これらのデメリットを補うために、公正証書を作成して夫婦間の権利義務を明確にすることが推奨されます。